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病気を未然に防ぐ予防医学「生薬物語」
漢方の歴史の中で大自然の恵みを受けて育った薬草、動物、鉱物などには、さまざまな薬効を持っており、人間、動物が生存するうえで大変な恩恵を受けております。病気を未然に防ぐ予防医学として発達した中医学では本来人間に備わっている自然治癒力を高める天然の生薬を使った中成薬が処方さえます。「生薬物語」ではさまざまな植物生薬を伝説や民話を紹介しながら学んで行きたいと思います。百草園は中国、昆明の世界花博覧会の薬草園をイメージして、命名しました。写真の神農さまは、私共がお祀る「神農さま」で、古代伝説の三皇五帝のひとり神農は、農耕と医薬の祖として今でも湯島の神農廟では11月23日勤労感謝の日に「神農祭り」が行われている。神農は一日に百種を毒味し、その働きによって上品(じょうほん)毒がなく長期にわたって服用できるもの、中品(ちゅうほん)毒の有無を確認して用いる、下品げほん)毒が多く長期に服用してはならない。に分けけたと言います。神農が八卦を重ね六十四掛を作った「羅盤」は現代でも風水を占う、暦など重要な役割を果たしている。
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丹参(たんじん)
しそ科の植物で、日本には自生してない「血液をさらさら」にする漢方薬が丹参です。 丹参は中国産のサルビアの根を乾燥させたもので、薬物学の原典「神農本草経」にもあり、体力を補い長く服用できる優れた薬として上位にランクされてます。 最高級の品質の丹参は、四川省成都の製薬会社で製剤となり、日本にも「冠元顆粒」と言う製剤で輸出されている丹参には、四物湯と同じ血液を補う働きと、血行を良くしさまざまな病気を引き起こす原因となるオ血(血行不良)を改善する作用があります。 生活習慣病予防の漢方薬として、中国の国家プロジェクトとして冠心U号方が開発された話は有名です。 日本でも現在「血液さらさら総合療法」と体質別に予防と治療に処方してます。最新情報として「脳のアンチエイジング」として認知症の原因として血流障害タイプの予防、抑制、改善作用に丹参が力を発揮します。 病気を未然に防ぐ予防医学として、冠元顆粒のタイプ別、血液さらさら総合療法は画期的。
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紅花(コウカ)
7月中旬山形を旅すると紅花の花が目に付く、紅花を地域起こしの道の駅や紅花の歴史を展示した博物館がある。 紅花は染料や医薬、食材など広く利用され最近では薬膳の素材として、健康に役立つ生薬です。 紅花の性質は、体を温める作用の温性で、ストレスで滯つた血行をスムーズにする活血作用にすぐれ、脳、心と肝の症状に効果的です。 紅花(こうか)は血液の流れを改善する活血化於作用があるため、血行不良による生理痛生理不順など婦人病、不妊症などの諸症状に使われます。 紅花は優れた活血作用で、血行障害による高血圧や狭心症、動脈硬化、脳梗塞などの心血管系の疾患を改善します。 薬膳では紅花ご飯、紅花の漬け物、シチューやスープ
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独活(ドッカツ)
春の山菜、山ウド、白ウドと酢味噌和え、天婦羅、旬の味は一番です。子供の頃、山地に自生する山ウドが薬になるとわ知らず、香りが強く水にさらしてアクを抜き、若布と和え食べてました。 日本では古くから山菜として親しまれたウドは、湿度に高い日本で多く見られるリュウマチや関節炎、腰痛、鎮静、むくみなどに効果がある民間薬として煎じて服用され、また焼酎に浸けた焼酎酒を作り治療に飲まれて来ました。 中医学(漢方)では気温や湿度、気圧など氣候の変化など、体に与える影響が病気の発症とかかわると考えます。 特に喘息、腰痛、神経痛、リュウマチなどは気象の変化を影響をうけやすい症状です。 中医学(漢方)では、神経痛、リュウマチなどの痛みの疾患を「痺症」と言い「詰って通じない」と言う意味で、疲れや、ストレス、免疫低下、冷え、老化、湿度など、体の衰えに外邪が入り込み氣血の流れを滞らせ痛み(痺症)を引き起こすと考えます。 ウド(独活)はこの様な風湿の邪気を取り除き症状を改善します。又ウドは腎と肝の機能を高める働きがあり、独活を主薬とした処方に「独活寄生湯、独歩丸」があり、風湿を取り除くだけでなく、同時に氣血を補い、老化を防ぐ働きがあり中国唐代の古典「千金要方」に掲載されてます。
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山薬(サンヤク)
元気の出る食べ物に「とろろ芋」が有る。仙台の牛タンに麦とろ、平泉のとろろそばなど肉にとろろ(山芋)は消化剤をプラス食事。その名前が表すように、精氣を養う「山の薬」として古くから食べられた薬用植物です。 日本でも体力を強化する食べ物として知られ、精力がつく事から「山のうなぎ」と言われ、薬食同源にふさわしい滋養強壮の野菜と呼ばれる食材です。 気仙沼地方でも最近「自然薯」の栽培が盛んに成り、「薬膳のすすめ」では自然薯の薬膳で地域に挑戦してます。山芋と言え場ば産地は青森県九戸が有名です。山芋は優れた消化酵素で健胃整腸に効果が有り、胃腸の弱い人に適した食材で、抗脂肪肝作用のコリン、肝臓の解毒作用を高めるムチン、胃の炎症を鎮めるサポニンなどの有効成分を含んでいる為、肝臓疾患や疲労、精力減退などの症状改善にも最適で、又特に自然薯などのネバネバは粘性多糖類成分により、血糖を下げる働きがあるので糖尿病の改善にも効果的です。 中医学(漢方)では、山薬は「補気葯」として用いられ、人体のエネルギー源である精氣を補う働きがあり、脾を健やかにして、肺を補い、腎機能を高めます。 山薬の処方には、腎の働きに「六味丸」、消化器に機能を高める「参苓白朮散」、山薬の薬酒、薬膳材料など毎日の食生活に長寿食、自然薯をお奨めです。
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かっ香(カッコウ)
中国の民話に、美しい姉妹愛が伝わる「かっ香」。 夏の暑さや高い湿度によって、体に余分な水分が停滞して、胃腸機能が低下する夏バテや暑気あたりなどの胃腸症状に用いられます。 滞った気に流れを促進して、胃腸機能を促進する作用のあるかっ香は、抗菌、殺菌作用ににも優れているため。食欲不振や食中毒、下痢や腹痛などの症状を伴う、胃脹型の夏風邪に処方される漢方薬です。 淡い紫色の小さな花を咲かせる「かっ香」は芳香性のある食物で、体に溜まった余分の湿や熱を取り除く他、抗菌作用もあり、むかむかする、吐き気かぜに、一年を通じて大変便利な漢方薬です。 日本でも「水が変わるとお腹をこわす」と言われますが、出張や観光などで、気候風土の違う場所に行く時に、食中毒や消化不良予防の為に「勝湿顆粒」の常備をすすめます。
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当帰(トウキ)
中国では昔から「女性の宝」と呼ばれ、女性の健康と美容に欠かせない生薬 として知られる植物で、不足がちな血液を補う「補血」作用と、体を温め、血の流れを活発にする「活血」作用に優れた植物です。 当帰には、痛みを抑える「止痛」作用や、補血と活血の作用によって大腸を潤してきのうを高め、便通を改善する「潤腸」作用にすぐれ腸燥性の便秘に効果があります。
当帰は日本にも自生する多年生の植物で、貧血や冷え症、生理不順、や更年期障害、不妊症、などの症状に用いられます。 当帰が配合された中成薬(漢方)には、貧血や冷え性、生理痛などの症状に処方される、「婦宝当帰膠」や「十全大捕丸」、動悸や不眠などに用いられる「天王補心丹」、むくみや血行不良に「当帰芍薬散」などがあります。 この地方では、良く朝鮮人参と間違える方も多いのですが、せりの匂いと白い花が特徴で、晩秋から立冬にかけて採集します。
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菊花(キッカ)
「不老長寿」の薬草として古くから親しまれた菊の花は、観賞用だけでなく、頭痛や目の疲れなどの症状を緩和し、肝機能を高める食物として栽培されています。 東北地方では、食用菊を食べる習慣が有り、菊を蒸して乾燥させた物を「菊のり」と呼び和え物、天ぷら、酢の物や汁物などがあり、山形県の「もってのほか」はさまざま料理に利用されてます。
中国でよくみかけるのが菊花茶。乾燥させた抗菊花を湯飲みや急須に入れて熱湯を注いで飲む菊花茶は中国ではポピュラーなお茶で、ほのかに香る菊のすがすがしい物です。 目の疲れがとれ、頭がスキリし、パソコンの目の疲れに効果があります。 数年前、中国でお酒の後の菊花茶をいただいた事を思い出します。 抗菊花は体のすみずみに栄養を運ぶ血液の貯蔵庫である肝機能を補い、目をすっきりさせる「養肝明目」作用に優れ、清熱作用があると言われます 目のつかれやかすみ、目の痛み、充血、視力低下などの視力改善のほか、頭痛や高血圧、イライラなどに効果があります。代表処方に六味丸に枸杞子、菊花を加えた杞菊地黄丸があります。
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淫羊カク(インヨウカク)
淫羊カク(イカリ草)は、日本でも古くから知られる薬草で、滋養強壮薬として知られています。 家庭薬や薬酒など、民間薬として用いられてきました。 淫羊カクは別名「仙霊脾」と言い、イカリ草を原料とした薬酒は「仙霊脾酒」と呼ばれます。 中医学では、精力減退、健忘症、老人の頻尿や小兒の夜尿症、更年期障害など、生命の源「腎」を補う「補腎壮陽」の植物として用いられます。 淫羊カクは、女性の不妊症、男子の精子の発育不良や機能低下に効果を上げてます。漢方薬では、中高年の強壮剤として知られる「至宝三辨丸」があります。
イカリ草を服用する時の注意 淫羊カクは、腎を補い体を温めて全身の機能を高めるので、体のほてるタイプの方が服用する場合は、漢方の専門家に相談が必要です。
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板藍根(バンランコン)
20年前に上海研修に訪れた時、中約店に「板藍根沖剤」と言う漢方薬を見つけた。 板藍根の角砂糖の様な物で甘くて飲みやすい。中国では家庭の健康を守る常備薬として広く普及し、誰でも知っている漢方薬です。 解毒作用と抗菌作用、抗ウイルス作用に優れている為、インフルエンザや扁桃腺、ウイルス性肝炎などに用いられます。 当時2歳の娘が扁桃腺による熱性痙攣で困っておりましたが、上海から持ち帰った「板藍根沖剤」を使用した所、扁桃腺の腫れが治まりました。
板藍根は日本でもなじみの漢方薬で「大青」と呼ばれるあぶらな科の植物で、日本でも古くから藍色の染料として使われ、藍染めには切り傷や虫刺されから身を守り、毒くもや蛇などが近寄らない効用がありました。
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